Channeing Experiment
次世代加速器の陽電子源の開発
電子陽電子衝突型線形加速器や高ルミノシティB ファクトリーでは大強度の陽電子源を開発することが重要な課題です。陽電子を作り出す素過程で代表的なものは光子(γ 線)からの電子・陽電子対生成です。電子陽電子対生成の全段面積は光子が通過する物質の原子番号をZとしたとき、Z2に比例します。よって、タングステン等のZが大きい重金属物質中では電子・陽電子対生成の全断面積は増大します。更に、単結晶に電子ビームを入射した場合、ある条件が満たされると通常の制動放射以外にチャンネリング放射やコヒーレント制動放射と言った単結晶特有の現象が起きます。その為、現在加速器の陽電子源に用いられる多結晶重金属標的の替わりに単結晶を標的として用いることで、陽電子強度の向上を図ることが求められます。
我々は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)との共同開発実験で、KEK-B Linac(Bファクトリー用入射器)のビームスイッチヤードで実験をし、研究を重ねています。そして、今年度(2006年度)の夏に、Linac陽電子ステーションにタングステン単結晶標的を実装する段階にまで来ました。現在はその準備をKEKと共に行っています。